それはどうかな

心に引っ掛かったことを書き留めます

金なんてなんぼあってもいいですからね

始まりましたね。
このキャスティングは、どう考えても
「アレやろ?」なドラマ『SUPER RICH』。
(大いに中身に触れます。御注意ください)


まず、ド真ん中に時系列表記をドドーンと入れて来たのが
イギリスのスタイリッシュなサスペンスドラマ
『Killing Eve』そっくりで
(あっちは場所名をドーン)
カッコよさと何やら不穏な空気を
一気に醸してくれました。

氷河衛(江口のりこ)の無表情と無機質な関西弁が、この雰囲気にピッタリで
しかも大金持ちから、いきなり丸2日食べてない状況への変化を見せられ
いやが上にも「どした、どした、何があった?」と、惹きつけられます。

億単位の金の話から
春野優(赤楚衛二)への5万円を経て
最後、500円のラーメンを一杯のかけそばの如く分け合うところまで
「金」に対してこれでもかと考えさせる内容でした。


親の事故死は自分のせいではないかと
苛まれつつも、衛が
自分のやりたいように人生を切り開けたのは
やはり莫大な遺産の下地があってこそ。

そして、常に貧困が付きまとう運命を
自力でなんとかしようともがく優との対比は
今流行りの「親ガチャ」を突き付けるよう。

意図はわかります。
不運な優が土下座して、陳腐なドラマなら
社長がほだされて受験を許可し
合格して、良かったねになるところ。
そうは問屋を卸させなかったのは
あくまでも現実の厳しさをちゃんと描こうとしているからと思えるのです。

このシーンでの優は、衛の言うとおり
全く褒められたものではありませんでした。
その境遇はたしかに同情を誘うものかもしれないし、己の不運につい愚痴りたくなった気持ちもわからなくはない。

が、これから就職しようかという社会人として
ああいうのは、やはり子供じみていて
見っともないと思うのです。

この子は、事ある毎に生い立ちまで遡って
同情を引き、相手に反論できない負い目を背負わせて、自己の正当化を勝ち取るつもりか、と
私はちょっと嫌な感じを持ってしまいました。

そこをピシャリと突き放した衛は
事の善悪をきちんと弁えている人だなと
思ったんですけどねぇ。

世の中、完璧な人間っていないもんです。
この人の弱点は、学生時代からの腐れ縁
一ノ瀬亮(戸次重幸)の存在。

しかも、岡目八目とはよく言ったもの。
そのことを周りの人間は気付いていて
本人だけは、それを一ノ瀬への純粋な信頼と思い込んでいた。

大体、見てても一ノ瀬って
まともに仕事してるんか?な印象。

今吉零子(中村ゆり)という、衛の親友で
財務担当の責任者がいるにも関わらず
億の金を一存で(衛が反対しないのを見越して)動かそうとするのは
どう見ても無謀でしょう。

私は会社経営したことないから
ズレてるのかもしれませんが
投資に1億の金を突っ込むって言われたら
もっと慎重に、投資先の裏取ったりしないんでしょうかね。

ま、案の定、大失敗ぶっこかれて
衛はプラチナなんたらとかいう晴れ舞台で
あの、こっぴどく撥ねつけた優と同じ
土下座の挙に出たのです。

けんもほろろで融資を断った銀行にまで
恥を忍んで融資を頼み込む。

人間、追い詰められれば
ブーメランだろうが、どの面下げてだろうが
厭わない
そんなの関係ねぇになるというリアル。

金の苦労をしたことのない人が
生まれて初めて味わう「一文無しになる恐怖」

常にそれと背中合わせの優の方が
むしろ衛より打たれ強いのかもしれません。
あの子犬のような愛くるしい顔で
見っともない弱音を吐いたのも
もしかして計算だったのか?と、思わせる程
最後の笑みがしたたかに見えました。



この子、ただモンじゃないぞの予感をはらんで
終わったわけですが
例の「アレやろ?」な絡みは
今回、インターンの話をした宮村空(町田啓太)の直後に
優のエントリーシートが映るシーンくらい。

まぁ、私なんぞはもう『チェリまほ』を引きずってはいないので
どちらも女性と絡もうが何しようが平気なんですけど
未だ魔法が解けない状態だったら
再共演は嬉しい反面、それぞれ別の相手とどうのこうのは、やっぱりキツイと思います。

BL好きにとって、ベストカップルは特別な存在なんですよね。

『チェリまほ』人気にあやかろうとしたのかどうか、真相はわかりませんが
(…にしては優のリュック姿がモロ安達じゃん!)
下手すると地雷踏むことになりゃせんか
なんて、野次馬根性丸出しで見届けたいと臨んでおります。


あ、忘れてました。我らが町田啓太さんですね。
エレベーターでの作り笑いの時
顔中シワだらけだったのが
若干、恐怖でした。