それはどうかな

心に引っ掛かったことを書き留めます

わんこそばでしょうか  いいえ、メガ盛り

今回は一段とカオスな内容でした。
SUPER RICH 第8話。毎度のことですが
とても奇天烈な展開ですので
目を回さないように、御注意ください。



まず冒頭の、懐かしい豪徳くんの手から包丁が落ちた「ような」描写と
病院の廊下で空が警察に連行される「ような」描写は
このドラマの唯一の工夫である
時空を超えた引っ掛けですので、無視です。

何度も同じ手を使うとはオオカミ少年さながらですね。

さて、今回の大きな目玉は3つ。
1.今吉に絡めた LGBTQ+問題
2.鮫島に絡めた女性の労働環境問題
3.まさかの、優、事件に巻き込まれ
  生死をさまよう状態で
  何故、家族が駆けつけないのか問題

いや〜、社会問題に突然目覚めてみたり
優の家族は貧乏だけど愛が溢れている設定は
忘却の彼方へすっ飛んでしまったり

何だか、新しいことを思いつく端から
大事なことを忘れていくようですよ
このドラマ。


では、1から張り切って行きましょうか。

今吉が衛に恋愛感情を持っていることは
前々から匂わせていましたが
肝心の本人カミングアウトはしていないので
衛としては、知りようがないこと。

腐れ縁だった亮がお縄になったので、もう
(男との)恋愛要素が無いように思えた衛を
トンビに油揚げさらわれるように
優という若造が奪ってしまった。

これ以上、衛の傍で働くのは辛いから
辞職を言い出す今吉ですが
彼女の恋慕に気が付かない衛としては
仕事上の不満材料を解消することぐらいしか
慰留のための提案が思いつきません。

そこで、やっとこさ衛への告白となったのですが、この時の今吉の気持ちを思うと
胸が締め付けられそうでした。

異性愛者を好きになってしまった同性愛者の
進む道はイバラだらけです。
相手に気持ちを打ち明けることは
そのままカミングアウトを意味していて
二重の負荷がかかるのですから。

この時の二人の芝居は良かったですね。
大体を何でもセリフで説明しがちなドラマなのですが、二人がこれまで培ってきた関係性が
ちゃんと見えて、納得できました。

が、原稿にダメ出しされた漫画家の卵に
スリースターブックス社が逆恨みされ
(また、逆恨み!)

今吉が Lパートナーとホテルに入るところが
SNSで拡散されてしまいます。
(これも、ダメ出しした碇さんのじゃなくて
何でピンポイントで今吉の秘密暴露なのか?)

で、会社に迷惑がかかるから
すぐにでも辞めるという今吉に衛が
こんなことで契約にイチャモン付けてくるようなヤツよりも、傷付いた今吉が心配だと
今吉は悪くない、必要な人間だと、涙に咽ぶ。

ここだけ読んだら「衛、エエことゆうやん」
でしょうけど、これで一件落着な感じは
「ちょっとオカシイやろ」なのですよ。

まだ何も暴露による迫害行為を受けてないのに
LGBTQ+を理解しない人間という仮想敵を強引にこさえて
今吉に自身の不遇を叫ばせるのは
却って、LGBTQ+を貶めてはいないか。
衛の正論を引き出すための今吉の卑下なのか。

そして、いいだけ愁嘆場を見せたあとは
社の皆さん落ち着いて和やかにお茶を飲む。
さっきまでのバタバタが嘘のよう。

っていうか、今吉の恋心はこれでもういいの?


この調子で、結構重めの問題でも
あっさり解決できちゃうから
同時にもうひとつ、2も抱え込みました。
妊婦鮫島の問題提起。

とうとう倒れて(ちょうど空の胸の中って…)
衛の知るところとなった鮫島の妊娠。

身体を一番に考えた仕事の調節を提案する衛に
この会社は妊婦や子持ち女性の労働を想定していないから無理と、鮫島は鋭い指摘をかまし
こちらも辞職を申し出ます。

いきなり労働条件の不備を言い募る
一人労組のような鮫島に、衛は目が点。
私もポカンでした。

えーと、まずですね、鮫島は既婚者なのか?
ならば将来、妊娠出産の可能性を踏まえた
労働の形が、経営者なら念頭に無い訳が無い。

それに何より、御主人の話が真っ先に出るはず。なのに、それが無い。

だとすると、今までの感じからいって
どうやら鮫島は独身のようですよね。

未婚で妊娠なら、労働条件よりも真っ先に
相手はそれを知ってるのか
結婚するのか、未婚のまま産むのか
そっちの方が大事だと思うけどなぁ。

女性の社会進出における最大の問題提起を
どうしても入れたかったのがミエミエで
不自然極まりないわ、衛も面食らうわ。

で、この件もさっきの和やかお茶飲みの席で
鮫島が衛に非礼を詫び
衛も、働く女性のための制度づくりを
鮫島に手伝ってほしいと提案し、丸く収まる。
今吉のついでに、こっちもあっさり解決です。


そして最後に、この日は全然仕事にならないのが決定的になる事件が勃発。
問題の3ですね。

何故か今吉ご推奨のバタートーストを食べようということになり、バターを買いに
豪徳くんの新しい勤め先のコンビニへ行った優。

突如現れた強盗に優が刺された……そうなんだけど、またまた肝心の襲われた様子の描写無し。

いきなり、腰に包丁突き立てた瀕死の状態で
駆けつけた空の制止も聞かず
自ら渾身の力で包丁抜いて出血多量を招く優。

死にそうな人に向かって
こんなこと言うの何だけどさぁ
あなた、何がしたいの?死にたいの?

もう、ここから
手術→衛駆けつける→心停止→一命取り留める→集中治療室で衛泣き崩れる、と
怒涛の無理矢理緊迫感。

そして、手に手を取ってリハビリに励んでる風を経て、二人仲良く会社(兼住宅)に戻り
思い出のソーメン with 食べるラー油を食す。

驚くなかれ、この間、たった5分ですよ!
刺されてからソーメンまで。ヒェェ……
服装や景色で季節の移り変わりを示したとは言え、乱暴過ぎやしませんか?

それよりも最大の不可思議は
死線をさまよう優の元へ、家族の
あれだけ家族愛を前面に押し出してきた春野家の、唯の一人も駆けつけて来ないという謎。



重箱の隅をつつけば、大なり小なりボロが出る
どんなドラマも、それとの戦いでしょう。
しかし、この SUPER RICH
隅どころか、ボロが重箱から溢れ出てる始末。

もちろん、衛と優の恋人としての関係におけるなんだかんだや
ちょっといいセリフもありましたよ。

ありましたけど、それらがふっ飛ぶほどの
仰天展開で、もうヘトヘトです。

あ〜〜そういうことか!
「ジェットコースター」とは
奇想天外なストーリーのことじゃなく
ブルンブルン振り回されて客が疲れ果てる
という意味か!

なるほどね。