それはどうかな

心に引っ掛かったことを書き留めます

我に日本語字幕を与えよ

成長した「こども店長」いよいよの御登場で
物語は新しい展開を………
と、順調を印象付けたいところなのですが

僕ドラ・ダメな男じゃダメですか?第4話。

当初から手厳しい批評を浴びていたのは
存じておりました。
方言が大げさ、ストーリーが無茶苦茶
町田くんの演技がちょっと……等々。

そうであっても
町田くんの短所も忌憚なく盛り込んだ内容や
奇天烈キャラに敢えて挑戦しようという
意気込みを好意的に捉え

事実「結構頑張ってんじゃん」と
楽しく拝見してたのです。

が!
入れ替わり前後に関わった浅い間柄ならば
無理なく面白く展開できたお話も
権太、カツヨ、それぞれの元々を知る人と
対峙してしまうと
途端に「気になる点」が続出。

おまけに、うっすらと懸念材料だった
「何言ってるかわからん問題」が
顕著になってきて、いやはや参りました。

今回は少々辛口で失礼いたします。




いきなりの世界地図に
聞いたこともない国名の列挙で
最初、チャンネル間違えたかと思いましたが
それは、初登場の加藤清史郎くん扮する
帰国子女・中野奏助の華麗なる転居遍歴でした。

日本に生まれ育っても
わざわざインターナショナルスクールに
子供を通わせる家庭もあるくらいですから
幼い時からグローバルって
羨ましいじゃないか、と思うのは
海外とは縁のない私のような人間だけなのかな?

中野くんは母語である日本語の不自由さで
なかなか生きづらい大学時代を送っていました。

バイト先の飲食店で
外国語風オーダーを告げる中野くん。
このときの厨房の皆さんの苦笑いは
本来なら、日本人の了見の狭さとして
悪い印象の見本なのかもしれませんが

ごめんなさい。本当に何言ってるかわからん。
FM放送の帰国子女っぽいパーソナリティの
ちゃんぽんな感じを出したかったのかな?
それにしては「カプチーノ」が
しっかり日本語発音で、更に謎。

ま、とにかく「中野くんが浮いた存在」
という描写の理由付けがなされ
極めつけの大失恋で人生ドン底のところを
救ってくれたのが
当時のバイトの先輩・権太だった、と。

一人しょぼくれ、ヤケ酒呷る中野くんに
笑顔で「今から海にでも行く?」と
気さくに話しかける権太。
(余談ですが、黒沢の「階段で行く?」っぽいなぁ……なんてね)

さて、ここで問題です。
私の耳が確かならば
権太「砂浜に名前書いて波に消してもらえよ」
中野「不潔(不吉?)なこと言われました!」
権太「ウハハハハ!」

私、ポカーン。
えっ、ココ笑うとこ?
さっきと違って全部日本語なのに
さっぱり意味がわからない私は、一体何人?

どなたかスッキリお解りになった方
私に救いの手を差し伸べてください。

こんな調子なので
元カノ葛西ちゃんの印象的なセリフ
「嬉しいこと二つ言われた」を
奇しくも中野くんの口からも言わせたのに
権太の人間的魅力がすっかり霞んでしまったのです。

まだうまくいっていた権太と葛西ちゃんと
一緒に楽しい日々を過す,当時の中野くん。

日本語も上手になって生き生きとしてくる過程と、突然権太がバイトを辞めたことを
シフト表の文字で表したところは
とても良かったのですけどね。

で、3年後の現在
パリッとしたスーツ姿でエリート感満載の中野くんと
清掃バイトに精出しながら
オーディションのための歌を練習する
(壊滅的音痴)権太がトイレでバッタリ再会。

が、権太の中身は婆ちゃんなので
中野くんのことは全然知らないよ
ということなんですね。

ここもね、昔、権太の部屋でジェンガに興じるくらい仲良しで慕ってたのなら
3年の間、何かしら連絡取る方法あったんじゃないの?
なんて疑問も湧くのですが………

でも、うっかりジェンガ倒すとこなんて
ホントに自然で、さすが元天才子役だなぁ
と、感心したのでその疑問は引っ込めます。

しかし!
可愛い男の子に突然話しかけられた権太婆ちゃん。
この頃には、大分キャラ慣れしてきたのか
フワッと流すように喋る町田くんの悪い癖で
セリフが何言ってんのかわからんのよ。
コレは不問に付せませんよ。

そして、その後
昇進でアメリカ転勤を打診された中野くんが
権太先輩に相談をします。

憧れの先輩が群馬弁丸出しのご陽気キャラに
激変した点は訝りつつも

権太本人が(実は婆ちゃんだけど)
就職は嘘だったと白状し、今は明るく楽しく
スーパーアイドル目指してんだいと
屈託なく話したことで
昔とは違う先輩であることを受け入れました。

ここは無理がなくて良いと思うのですが。
所々権太婆ちゃんのかますボケが
(「わたすですか?」「最高に好きです?」)
ことごとく大スベリなのは痛い痛い。

居酒屋の席で、権太が婆ちゃんの武勇伝を
でっち上げてたことを知り
怒った権太婆ちゃんの「ゴンターー!」で
お客さんたちが白い目で見てましたよね。
まさにアノ状態ですよ。面白くないんですよ。

SUPER RICHの時にも
「ココ笑うとこですよ」の押し売りは
ちっとも笑えないという反省点が
多々あったんですけどね。

コメディドラマって、長尺のコントだと
思うのです。
よく錬られた台本、演者の掛け合いの絶妙な間
とにかく相当難度の高い分野なのですよ。

スベった後の変な空気を
とうとうこのドラマで見てしまったか……

イヤな感じは、畑の面倒を見に
群馬に帰って来た権太のカツヨにも
伝染してしまいました。

土いじりのイロハも解ってない権太ですから
およそ農作業をするような格好ではないわ
野菜と雑草の区別もつかんわ
それに何より、よそよそしい標準語で喋るのです。

農家仲間の又一が怪訝な顔をするのは
無理もないわけですが
この矛盾を乗り切る言い訳が
「東京行ってボケた」。

ま、たしかに
「わからないことが有ったらボケた振りしろ」
と権太婆ちゃんに言われてたけど
これはちょっと無理すぎでは?

あの広い畑を一人で切り盛りしてきた
スーパー婆ちゃんに
いい野菜は如何にしてできるのかを
一から説く又一の
「ボケたカツヨ」をすんなり受け入れる様は
かなり不自然だと思うのですが。

なんせ、東京での権太と中野くんの間柄より
群馬のカツヨと又一には歴史があるわけですから。
家業の基本すら忘れてしまったとしたら
どえらい一大事のはずなのですがね。

又一の言葉で「農業のエモさに目覚める」が
どうしても必要だから
多少の矛盾には目をつぶらなきゃならんのかね。うーん。

なんかモヤッとした気持ちのまま
最後のカツヨの検診結果で
ホントに笑ってる場合じゃなくなってしまい
ちょっと、今、沈んでおります。

まさか病気ネタを持ってくるとは
思いませんでしたよ………




ところで、権太婆ちゃんの生きる張り合いでもあったアイドルオーディションは
一体、どうなっちゃうんでしょう?

一応、毎回お約束の「ブラック矢上」の
横暴ぶりはありましたけれども
あの嫌われっぷりですから
最終審査棄権ともなれば
権太婆ちゃん合格の芽は
完全に摘まれてしまったのかもしれませんね。

またまた余談ですが

「なんとかハラスメント」がとやかく言われている昨今
あの矢上部長の真っ黒ぶりは
いささか誇張が過ぎるかも?

………と、思いきや
例のやんごとない坊っちゃんの母君の圧力が
かなり凄まじいらしいという噂で

矢上部長に恫喝されて
泣きそうだったスタッフの姿が
そのまま、現実にあったのかもしれない。

そう思うと、ますます心が暗く沈んでゆくのでありました。

「どこまでも子供っぽいのが大人の世界なんだよ」

あの例の学長の会見を聞くと
矢上部長のセリフは
強ち誇張とは言えないように思えるのですが
如何でしょう?