それはどうかな

心に引っ掛かったことを書き留めます

引導を渡されたのは町田くん

いよいよ最終選考で決定しました。
「僕ドラ」大賞作品。
ドキュメンタリー第2夜でございます。



作品数が前回の半分になった分
1作当たりの御紹介時間が増えて
どんな風に漫画を作っているのかまで
御披露される内容でした。

気がつけば、アナログな私でもこうやって
紙と鉛筆無しで文章を書いている時代。
作画もデジタル化は当然と思ってましたが

『死神K』の、漫画家本人の写真をはめ込み
その上から線でなぞって登場人物の絵にしてしまう技を目の当たりにして
技術の進歩に、ただただビックリでした。

もっと驚いたのは
それほど進んだデジタル技術を駆使しても
描き上げる所要時間の更なる短縮のため
アシスタントさんに作業の分担を依頼する
という念の入れ具合です。

そうなると、すべて1人の手作業で描かれる
『はるかかなた』の抱えるハンデは
もう、可哀想なくらいですよ。
(漫画作りに集中するため、その後の取材を断わるほど)

今は便利な手段が山ほどあるのに
敢えて使わず「手描き」に拘る……のは
その漫画家さんの信念なのかもしれませんが

かつて、時間と労力の圧に伸し掛かられ
漫画が描けない事態にまで追い詰められた経験があったそうなので
もっと楽な方法を取ってもいいんじゃないかと
素人の私なんかは思ってしまうのです。

漫画が好き、描きたいという気持ちと
作業の煩雑さ、迫る締切という現実が
上手く折り合わない辛さは
本当に耐え難いものだったでしょう。

それでもこの企画を機に
再び「描こう」という意欲が湧き
こうやって最終選考の3作品にまで残るのですから
その実力は証明されたわけです。

だから尚更、今後は描けなくなる事態を
避けられるものなら避けてほしいと
願わずにはいられないのです。
だって、もったいないじゃないですか。

デジタル技術の力を借りれば
登場人物を増やすのも、複雑な背景を入れるのも、色付けだって自由自在。

もっと想像力が膨らんで
それこそ町田くんが言ってたような
「映画」にまで昇華できる可能性を
感じさせてくれるんですよね、この作品。

なんか判官贔屓みたいになってしまいましたが
『はるかかなた』は今の町田くんの良さを
一番引き出してくれそうな作品だなと
感じたものですから……

というわけで
栄えある大賞に選ばれたのは
実写化するのはかなりの大冒険と思われる
『ダメな男じゃダメですか?』でした。

たしかに見てみたいことは見てみたい。
だって、バアさんの心で生きる町田啓太ですよ!
こんなこと、他に誰が考えつきますか?!

ただ、私が大冒険と思う引っ掛かりは
前回も述べたように
とにもかくにも「主役の演技力」なのです。

しかも、あらすじを聞くと
若いイケメンの孫の姿を得た祖母カツヨは
ここぞとばかり、人生巻き返しじゃわ!
ファイトぉー!いっぱぁーつ!!の
張り切りっぷり。

つまり、孫の「田町権太」の姿形を借りた
祖母カツヨのやり直し人生を体現するわけです。
俳優としては、たしかにやり甲斐ある役でしょう。

聞くところによると、カツヨ役は宮崎美子さんだとか。
こう言ったら何ですけど
ゴリゴリの大御所ではない親しみやすい女優さんですし、賢い聡い方ですので

町田くんの演技指導してくださるとイイな
なんて淡い期待を抱いています。
「腹から声出せ!」とか、ね。



決定段階で、町田くんがかなり迷ってたのも
ある程度無難に及第点取れる作品か
破天荒な役に挑戦する成功率未知数の作品か
という点だったのではないでしょうか。

で「このままでは埒が明かぬ」と
判断したのかどうかわかりませんが
「町田くんがやると、すごく面白くなる作品」という助け舟が
プロデューサーの方の口から遂に出たのです。

これで大きく町田くんの心が傾き
大賞作品が、やっと決定したわけです。
でも、これ、ほぼほぼプロデューサーの意向と言えなくもない。

テレビドラマとしては
やはりインパクトが強い方がイイわけですよね。
予算もそんなに割けないでしょうし。

私が一番モヤッとしたのは
散々(2時間も!)ああでもないこうでもないと、褒め言葉のような感想を並べてたのに

結局、プロデューサーの一言で
すぐにそっちへ流れていった感じが
この人の性分をよく表してるなぁって
ところなんですよねぇ。

ま、今回も肝心の意見のぶつかり合いが無くて
詳細はわかりませんが

大きな決定権が町田くんにあるにも関わらず
「僕はこの作品のこの役をやりたいんです!」という熱意みたいなものが
終始、あまり感じられなかったのが
ガッカリでもあり、そりゃそうでしょうねでもあり。

例のアノ件のときの
この人の「主体性の無さ」に失望した感覚を
もう一度味わわされたようで
後はため息しか出ませんでした。



観客を笑わせるのは
泣かせるより遥かに難しいそうです。
俳優・町田啓太の存在感を上げるか落とすか
ターニングポイントとなるドラマに
なるかもしれません。