それはどうかな

心に引っ掛かったことを書き留めます

自衛隊のあの手この手

遂に始まりました!
我らが町田くん、全国放送初の主演ドラマ
『テッパチ!』
バーテンダーのは一部地域だけでしたからね)

高校時代はラグビー部のエースだったものの
協調性の無さが招くスタンドプレーのせいで
脚を故障し、その後日雇いで生計を立てる
どこか投げやりな国生宙(町田啓太)の
人生再建物語 in 自衛隊……というドラマ。

ドン底から立ち上がる熱血感動話すら
珍しい昨今、舞台がよりによって「自衛隊
ですからね。

警察物なら、自前のウソパトカーでお茶濁せるけど
戦車はさすがに調達できぬというわけで(?)
天下の防衛省全面協力だそうです。

ネタバレいたします。






建設現場での身勝手さ
貰った給料をいきなりパチンコに突っ込む
行き当たりばったりの暮らしぶり
道端での暴力沙汰で日雇いも解雇され
挙げ句の果てに、家賃滞納で住む所も失う
という、いやはや相当なクズっぷり……

なのですが、この宙くん
どこか冷めてるんですよね。

滞納分のお金を,別れて暮らす母親に融通してもらおうとしても
新しい家庭で幸せそうな様子を見て
敢えて声を掛けずに漫喫暮らしを選ぶ宙。

高校生の時に、母親から妊娠と再婚を打ち明けられた時点で
彼は全てを諦めてしまったのかもしれない。 

このエピソードは、ともすれば煙たがられる
身勝手で投げやりな宙の振る舞いに
説得力を生み
ただの「イヤな奴」ではない
人間的厚みを感じさせてくれます。

最近、某就活情報サイトが
「底辺職業ランキング」なる
大きなお世話格付けを発表して炎上しましたが
宙の仕事はまさにそれです。

でも、連絡の齟齬でホテルでの同窓会に
作業着のニッカポッカ姿で行ってしまっても
逃げ帰らず、むしろ堂々と現れ
当時の仲間に皮肉を言われても
ムキになって突っかかることもしない。

しかし、偶然通り掛かった喧嘩沙汰に
飲んでいた酎ハイを落とされると
溜まった鬱憤を吐き出すように
怒りを爆発させる。

そして、警察に身柄を引き取りに来てくれた
勤め先の現場監督に解雇を言い渡された瞬間
茫然からすぐにおちゃらけて平気を装う……

という具合に、表情や態度は目まぐるしく変わるのですが
一貫して、心の奥にあるドス黒い澱みが伝わる
心底ヤサグれた閉塞感を持ちつつ
それを受け入れてしまっている「諦め」が
敢えて自分をもっと悪い状況に追い込んでいる
ようにも見えるのです。

この自暴自棄のどうにもならない男の顔。
町田くん、いいですよ。
人間、ドン底の向こう側を見ると
こんなふうになっちゃうんだなぁ。

で、その喧嘩沙汰あたりから
目を付けていたらしい男・八女(北村一輝)が
一文無しの宙に「自衛隊入らんか?」と
特大ステーキを餌に声を掛ける
というわけですね。

国生さゆりか、懐かしいなぁ、おニャン子
で、この男の年齢が想像つきますな(笑)
が、おっさんはおっさんでも、さすが自衛隊
Tシャツの袖から覗く二の腕の筋肉たるや
なかなかのマッチョ。

ヤサグレ無精髭の町田啓太と
筋骨隆々の渋い北村一輝のツーショットなんて
夢のようです(笑)

スカウトされても、ステーキで釣られても 
一貫して「自衛官になると決めたわけじゃねぇ!」の宙でしたが
衣食住完備+給料の魅力に抗えず
しっかり合格して、取り敢えず自衛官候補生となって訓練に勤しみます。

まるで部活の合宿のような
男8人の共同生活が始まるわけですが
真に「立派な自衛官になるのだ!」は
その中の1人だけ。

冒頭、防衛省のお偉いさんたちが
「若者の心に響くキャッチコピー」で
自衛官の担い手を募集しようと検討してましたが
実際、集まって来るのは
様々な動機を持った人たちなのです。

ここらあたりの事情を赤裸々に明かしているところに
防衛省の脱・お役所気質的な新しさを
感じましたね。

「食うに困って」とか「小説のネタに」なんて理由でも
受け入れちゃう自衛隊って、懐深いでしょ
みたいな?

シャバにいた時の例の喧嘩の相手と
偶然一緒の班になり
案の定、そいつと喧嘩やらかして
ほのかに憧れてた女性教官に
「協調性の無い人間は要らない」と言われ
自衛官の職も投げ出そうとする宙。

その彼を「逃げるのか」と挑発しつつも
エリートではない自分でもお前でも
ここは決して見限ったりしない、と
宙のわだかまりの根源をすくい取るような言葉で諭す八女教官。

表向き「国防の担い手となりたい」人で
固めているように見せたいであろう自衛隊
が、様々な事情を抱えて自衛官になる人がいる現実から目を背けることはできません。

「どんな人も見放さない」
これはそのまま「どんな人も守る自衛隊
というテーマに繋がるのだと思います。

あと、もう一つ
「エッ!防衛省、やるじゃん!」と思った点。
厳しい訓練を終えて、宙たちが浴びるシャワーのシーンですね(笑)

水も滴るイイ男が、文字通り水滴らせる裸体を
惜しげもなく見せてくれるわけで
また、それを舐めるように撮るもんだから
いやぁ、眼福、眼福(笑)

ジェンダーフリーが叫ばれる昨今、
女が男のシャワーシーンを愛でたって
良いではないか!なのでありますよ。

町田くんが鍛えた肉体を披露するとは
思ってましたが
防衛省の検閲が入っているであろうドラマで
このエロ目線シーンを入れて来るなんて
あら、ビックリ!でした。

それから、今回のロマンスの相手が
先の叱責した女性教官(白石麻衣)だそうで。

映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』の時も
主人公の恋人役だったのですが
童顔の千葉雄大に対し、古風な顔立ちの彼女が
なんともアンバランスで
しっくり来なかったのです。

ところが今回、美人エリート自衛官という
きっちりした役が、典型的和風美人の彼女に
ピッタリなんですねぇ。

年齢の割にフワフワした町田くんと
美男美女コンビで、今後の恋愛模様
楽しみです。




ただ一つの懸念は
この第1回放送直後に起きた
元首相暗殺事件の犯人が元自衛官ということですね。

しかも兇器が手製の銃で
奇しくも宙の同僚にガンマニアの青年がいて
「銃を撃ちたくて」自衛隊に入ったって
言っちゃってるもんだから
第2回目以降、この人をどう扱うんだろうと
心配してます。

ヤバイよ、ヤバイよ!