それはどうかな

心に引っ掛かったことを書き留めます

赤鉛筆 耳に引っ掛け 幸逃す

今回は先輩・金子の人生いろいろがテーマ
ということでしたが

金子も甘いわ、ドラマも甘いわ、で
視聴率が下げ止まらないのも
さもありなん……でしたね。

ま、早々に諦めた方からしたら
気付くの遅っ、なのかもしれませんが。

『テッパチ!』第8話
ネタバレいたします。








大体、私自身ギャンブルに一切興味がない
ということも
金子にまったく感情移入できない要因だったわけで。

片手に競馬新聞、もう一方に赤鉛筆という
登場姿だけで「あ、コイツはあかん」って
思っちゃうんですよ、どうしても。

(余談ですが、ギャンブルにのめり込む人に
結構、公務員が多いそうですね。
職と収入が安定しているかららしいです)

可愛い盛りの一人娘がいるにも関わらず
離婚する羽目になってしまったのも
もちろん、ギャンブルのせい。

回想シーンでは、貯金に手を付け
借金してまで……というレベルだったようで
しかも、出て行こうとしている奥さんを
説得する時まで、競馬新聞を手放さず

極めつけは、耳に赤鉛筆引っ掛けたまま!

これで前歯が無かったら
典型的なギャンブルで人生詰んだオッサンですよ。

その格好で「もうしない、絶対に止めるから」
つったって、説得力皆無。
案の定、当時の奥さん曰く
「何度もそう言った、もう信じられない!」
ですもんね。

そんな別れ方をした奥さんが
数年ぶりに、なんの屈託もなく娘を連れて
駐屯地まで会いに来たことで
金子に、ある奮起が促されたというわけです。

実は、私生活だけでなく肝心の自衛官の職も
再三の昇任試験不合格で
黄色信号が灯っていたのです。

この「再三の」に
わたくし、引っ掛かりましたねぇ。

今回「人生を賭けた大勝負」に際しての
大木班一致団結、という美談が
ずいぶん都合良すぎるよなぁ、と。

宙が配属されて此の方
大木班というのは、一つの小隊として
まとまっているように見えていたのですが
どうも、個人の問題にはあまり干渉しない
クールな人間関係だったようで。

第1部・訓練生時代のような連帯感があれば
金子が再三不合格になるようなことは
無かったと思うのです。

それこそ、その「連帯感」を持ったままの
宙と馬場に触発されたのかどうかわかりませんが

大木班長の鶴の一声で
金子合格へのバックアップ体制が
すぐに組まれて一致団結と相成ったのですね。

いやいや、そんな熱い仲間意識があるのなら
もっと前から、再三落ちる前から
協力してやればよかったっしょ。

ひょんなことから受験資格の無い宙まで
模擬試験という形で受けることになり 
そのことで、先を越された体になった馬場へ

不安を煽るような物言いで
底意地の悪さを見せる野村さえも
何故か素直に金子の家庭教師しちゃってるし。

彼の性格からして、この変わり身の早さは
不自然極まりない。

これがドラマ筋立ての甘さと思えるところです。

そして、金子自身の甘さは
別れた家族への未練がありながら
結局、ギャンブルから足を洗えず
(しかも昇任試験に落ち続け)

たまたま久しぶりに会いに来てくれた家族に
希望を見出したから
今回は頑張ることが出来た、という
何もかも偶然頼みな点ですね。

本気で、死ぬほど本気で
家族を取り戻したいと思うなら
先ず、不和の大本の原因であるギャンブルを
止めるはずです。

そこに、金子の真剣味が見えないので
「奥さん、よりは戻さん方がいいぞ」と
つい、思ってしまうんですね。

努力の甲斐あって合格し
いよいよ復縁を切り出そうとした矢先に
奥さんから再婚する旨を聞かされる
というオチに、すごく納得いたしました。

悲惨な別れ方をした後
幼い娘を育てながらの生活は大変だったと
容易に想像できます。

そんな彼女が因縁の前夫の前に
にこやかに現れ、娘を会わせるということは
新しい切っ掛けを掴んで
既に幸せに満ち足りているからに他ありません。

復縁に同意してくれるのではないか、と
能天気な勘違いをしたからこそ
金子は自衛官の職を手放さずに済んだわけですが
あまりにも甘い。甘いったら甘い。

実の父親が自衛官であることを
誇りに思う娘のためにも頑張ってほしい。

これは胸に突き刺さったでしょう。





ところで、自衛隊を辞めた人
いわゆる「元・自衛官」って肩書を
よく目にするのですが

衣食住完備で福利厚生も充実した職場を
なんで辞めちゃうんだろう、と
不思議に思ってたのです。

そしたら今回、謎が氷解しました。
一定の年齢までに昇任試験に合格しないと
金子のように、転職を促される仕組みだったんですね。

他の公務員のように、一度なってしまえば
一生安泰というわけではない
結構、厳しい職場だったとは知りませんでした。

模擬とはいえ見事合格点を取った宙も
例外ではなく
好意を邪推した金子に手を出したことを始め
過去の独りよがりな行動を懸念している桜間に

宙は「自衛官としての適性」を
疑問視されているようなのです。

もっともっと人の何倍も頑張って
手に入れないとな。

八女のおっさん、お見通しですわ(笑)