それはどうかな

心に引っ掛かったことを書き留めます

終わりよければすべて……よいのか?

最終回を目前にして
初回のような緊張感をはらんだ展開と
珍しく落ち着いた演出に気を良くし
見てくださいね〜なんて浮かれてしまい
申し訳ありませんでした。

長らくご愛顧いただいた SUPER RICH
いよいよ最終回で、ネタバレ御注意でございます。



宮村空、遂に「欲」に目覚めたか!

と、思ったのも束の間。
種を明かせば、聡美さんに対する
「騙されたフリ作戦」でしたとさ。

まるでオレオレ詐欺に対抗して
ジジババが打つ、捨て身の一芝居のようですが
そうでもしないと勝てない相手だから
というわけで。

犯罪を防ぐためならば正義でしょうけど
ビジネスにおける正当な手段に対しては
コレ、どうなんでしょう?

その後ホワイトナイトやらパラシュートやら
ビジネス用語?続出で
なんだか煙に巻かれているうちに
衛自ら聡美さんを騙すという大博打を打ち
みんな丸く収まりましたとさ
めでたしめでたし。

いつもより余計に雑にお送りしております。
私も、ドラマも。


一番、不可解なのは聡美さんなのです。
衛の尊敬する先輩であり
何かと衛を気に掛けてきた信頼の置ける人…
は、実は表向きで
ずっとスリースターブックスを我が物にせん
と、狙っていたということでしょうか。

それなら、優秀な人材なのに衛のしもべのような存在に甘んじている空に目を付け
MEDIA社に囲い込み
家族的雰囲気のスリースターブックスを崩す
蟻の一穴にしようとしたのも合点がいきます。

空の衛への忠誠心が並々ならぬものであったのが読み切れなかったわけですが
聡美さんほどの人なら
空が寝返るような人間かどうか見極められると思うんですよね。

万が一、空の寝返りが芝居だったとしても
ビクともしない手を打てるはずでもあるし。

加えて、遂に「情に訴える」という
一か八かの大勝負に出た衛に対し
「ビジネスをする時は情に流されないで」を
常に衛に説いていた聡美さん自らが
それを受け入れてしまった。

こんな強い人にも弱点があるんですよ〜的な
こと?
そんな甘い人間が最強MEDIA社の取締役まで
登り詰められますかね?

衛が聡美さんを尊敬するのは
それこそ「ビジネスに私情を挟まない」姿勢だったはずですけどね。

で、もっと分からないのは
戦い済んで、衛と聡美さんが
再び和気あいあいとお食事してるんですよ。

衛にとって聡美さんは
分身のようなスリースターブックスを
衛から取り上げようと画策し
大事な社員を困らせ、奔走させた張本人。 

聡美さんにとって衛は
(大事な所で情にほだされたのは失敗でも)
金の成る木を見す見す持ち逃げされ
プライドをズタズタにしてくれた後輩。

ビジネスの世界のトップは
そんな争いの後でも
遺恨を残さず健闘を讃え合うのが普通なのでしょうか。

聡美さんは、もう充分稼いだから
MEDIA社を辞めてやりたいことをやるんだ
「私が本物のスーパーリッチ」と豪語し

衛は、聡美さんがスリースターブックスを
買収してでも手に入れる価値があると
高く評価してくれていたことに喜ぶ。

二人の会話は
単なるゲームでの勝ち負けのように聞こえ
その攻防の裏で社員達がどれほど不安を覚え
とにかく指示通りに動くしかないと
一生懸命働いていることが
抜け落ちているように思えるのです。

この視点を、リリカに語らせていたのは
良かったと思います。
あれが無かったら、振り回される社員は
堪ったものではありませんでした。

社会人としての成長過程と
一般労働者の代弁者という役割を
全て担ったリリカ。
芸達者な志田未来をキャスティングした意味が
最後の最後に理解できました。




さて、そのリリカが一目置く存在となった
空ですよ、空!

私は空、いや、町田くんが
善人の限界突破する様が見たかったのかもしれません。

今回、早々に
「やっぱり町田だ、百人騙しても大丈夫」な
善人キャラ全開だったことに
少なからず拍子抜けしてしまって。

地上波ではないところで
サイコパスっぽい役をやってたようですが
私はこの人の「真の悪」の顔を見てみたいんですよね。
あの事務所が得意な半端なチンピラではない
凄まじい「悪」を。



ま、とにかく
全体均して「身も蓋もない率」が圧倒的多数を占める結果となった、このドラマ。

その中でも、町田くんは町田くんなりに
赤楚くんも赤楚くんなりに
キラッと光るものを見せてくれました。

やはり、チェリまほで培った
二人の相性の良さは本物ですね。
これは映画版への良いはずみになるでしょう。
頑張れよ、黒沢くん安達くん!



えーと、ところで、亮よ。
アンタは一体、何だったのよ。

今更、ホントに今更だけど
衛と優よりも、衛と亮の絡みの方が
絶対面白かったと思うのよねぇ。